MOONGIFT編集後記

MOONGIFTのコーポレートブログです

DevRelCon Tokyo 2017を主催しました

2017年07月29日(土)に日本初となるDevRel(Developer Relations。開発者向け広報活動)をMOONGIFTとDevRel Meetup in Tokyoにて主催しました(使われている写真は2017/07/29 DevRelCon Tokyo 2017 | FlickrDevRelCon Tokyo 2017 | Flickr20170729-DevRelCon Tokyo 2017 | Flickrより)。

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カンファレンスの概要は次のようになります。

  • イベント名
    DevRelCon Tokyo 2017
  • チケット販売枚数
    149枚
  • 参加者数
    120人(参加率8割)
  • 開催場所
    日本橋タワー サイボウズ社
  • 開催日時
    2017年07月29日(土)9時〜17時45分
  • 登壇者数
    22名(日本人5名)
  • スポンサー
    18社
  • 特徴
    全英語セッション
    なるべく海外の同名カンファレンスに似せる

特徴にもある通り、全英語セッション(司会含め)が大きな特徴です。もちろんそのために同時通訳も用意していますが、日本人であっても全員英語で行ってもらっています(今回は5名が日本人でした)。

以下は裏話になります。

DevRelConとの出会い

DevRelConは元々2015年9月にロンドンではじまりました。なお、MOONGIFTでDevRelをビジネスとして提供開始したのは2015年03月で、ニフティクラウド mobile backendが最初になります。ちょうど2ヶ月のお試し期間が終わり、さらに新日鉄住金ソリューションズのhifiveのサポートを開始し始めたタイミングでDevRelConのアナウンスを見ました。自分がビジネスを開始したタイミングで発表されたカンファレンスとあって、まさに自分のために存在するといっても過言ではありませんでした。今回の開催を振り返るに、これは運命だったとさえ感じます。ちなみに買ったのは6月末で、アーリーバードの販売終了前くらいだったと思います。

なお、この辺りのタイミングで個人的に今後ビジネスを進める上で海外に積極的に出て行くのを考え始めていました。日本の人口は減少傾向にあり、今後2020年の東京オリンピック終了後に経済も落ち込んでいくのが目に見えています。自分の人生(さらに家族の人生)は自分でコントロールできる状態にないといけません。会社に属し、核になる技術を持ち合わせないためにその会社の言いなりで働くような人生(さもないと首になってしまうような)は積極的に避けなければなりません。そのリスクヘッジとしての海外への進出です。

DevRelCon London 2015自体はまだまだ私の英語力とDevRelに対するナレッジが低すぎたこともあり、恐らく1/3も理解できていなかったと思います。それでも世界初のカンファレンスに日本からわざわざ参加した人がいる、というのは主催者であるマシューの目をとめるには十分だったはずです。

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二回目のカンファレンスはDevRelCon San Fransisco 2016で、5月にサンフランシスコで開催されました。もちろんこれも参加していますが、さらにスポンサードも決めています。一番低いブロンズではありますが、MOONGIFTとしてはじめてスポンサードしたカンファレンスです。それによってスピーカー、スポンサー主催のパーティーに呼ばれ、後にGlobal AI Hackathonを主催する機会をくれたBeMyApp社と出会っています。

この頃、主催者のマシューに対して日本での開催を軽く話した覚えがあります。まだまだ市場は小さいけれど、可能性はあると考えていました。

三回目のカンファレンスはDevRelCon London 2016で2016年12月に開催されました。こちらもMOONGIFTとしてスポンサーしています。この時にもマシューに対して日本での開催を促しています。この開催というのはあくまでも彼のカンファレンスとして考えていました。MOONGIFTとしてスポンサーであったり、サポートはするけれど、まさか自分で主催することになるとは夢にも思っていませんでした。転機になったのはDevRelCon London 2016でIBM BlueHubの萩野さん(当時はMKI)がスピーカーになったことではないかと思います。彼の中で日本市場が注目に値するものになったのではないでしょうか。

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DevRelCon Tokyo 2017の主催へ

2016年12月、DevRelCon London 2016が終わった後にマシューとメールを交わしてDevRelCon Tokyo 2017の主催を持ちかけられました。つまりフランチャイズ的な形でブランドを借りて開催するというものです。聞いた時にはかなり不安だったのですが、元々あったDevRel Meetup in TokyoのSlackチャンネルにてコミュニティメンバーに相談したところ、前向きが意見が数多く聞けたので契約を結ぶことになりました。コミュニティメンバーには背中を強く押してくれたことに感謝します!

実際に契約を締結したのは1月で、ここからWebサイトの準備やCFP(登壇者を呼ぶ仕組み)、チケット販売などが開始します。この時、強く意識していたのはオリジナルのDevRelConの踏襲です。日本独自のエッセンスを入れた方が海外からの参加者は楽しく感じてくれますが、別物に変える気はさらさらありませんでした。私が好きなDevRelConをそのまま日本に持ってきたいと考えていました。

そのため、全英語セッションは譲れませんでした。また、イベント自体が日本においては比較的高価(9,000〜20,000円)というのも大事でした。元々私が主催しているDevRel Meetupにおいても毎回800〜1,000円を徴収しています。毎回食べ物と飲み物を提供するので、ペイしないのですが、お金を払うからこそ価値のある情報が得られるという認識が必要だと感じています。チケット販売が非常に苦戦しましたが、それでもこのラインは譲れませんでした。

契約を締結するのに前後してSlack上に専用のチャンネルを作りました。また、同時期にDevRel HUBも開始しています。これは月曜日の夜8時に集まってC&D(キャッシュ&デリバリー。その場で払って飲み物を受け取る形式のパブ)で飲みながら話すものです。元々JAWS HUBがあって、元AWSマーケティング統括である小島さんに教えてもらった仕組みです。その中でもどう進めていくかを逐次話し合っていました。

リーダーシップ

最初は色々オンラインで話し合いながら進めていたのですが、後半になるに従って私がどんどん決めてしまっていました。意見は参考としてもらっていますが、それでも最終的に自分で決めてしまっていました。これはある意味参加メンバーを裏切っていた可能性もあり、申し訳なかったと思います。しかし、合議制は最終的な責任を取れる人がなかなか現れないと進まないこと、最終的な責任とはすなわち決済が決められる人に他ならないということです。そう考えると契約を締結したMOONGIFTとして推し進めないと進まないと感じていました。

それでもすべてのメンバーが自主的に動いてくれていました。私自身が人の管理が好きでないこともあり、フォローアップしてくれたコミュニティメンバーには強く感謝します。

橋のジョイン

今から考えると恐ろしいことなのですが、契約を締結した2017年01月時点ではMOONGIFTは私一人の会社でした。正直、今回の規模のカンファレンスを一人ですべて取り仕切っていたら、もの凄い混乱が起きていたと思います。少なくとも前夜祭と当日の準備を同時に進められませんし、アフターパーティーと後片付けも大変です。カンファレンスは2トラックあって、片方の司会をどうするという問題もありました。

がジョインしたのは4月からですが、最初に会ったのは2016年11月のDevRel Meetup in Tokyo #14が最初です。DevRelConでキーノートをつとめてもらったGitHubのジョンが来日することになり、GitHub JapanオフィスでDevRel Meetupを開催した際に参加していたのが橋です。そこでDevRelに興味があると聞いて、それならうちにジョインしない?と声をかけ始めたのが最初でした。そこからしばらく紆余曲折はあったのですが、結果的に4月からジョインして仕事をしています。私の適当な(悪い意味で)やり方を補正し、コミュニティメンバーとの運用もうまくやってくれたと感謝しています。

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人に任せるということ

前職を2006年くらいに辞めて以来、ずっと一人で個人事業主/法人をやってきていたため、一人で仕事をするのが当たり前になっています。むしろ人に任せるというのを忘れているかも知れません。デザインなど自分ができないことを人にまとめて振ってしまうことはできますが、それも相手が自分と同じプロフェッショナルであり、信頼できるからこそです。人に仕事を任せた上で、その進捗を見守ったりするのは、そのやり方すら忘れていた感があります。

今回、多くの場面で人に作業をお願いしなければなりませんでした。全員、その道のプロフェッショナルではありません。各個人が自分のベストだと思うやり方で協力してくれていました。そのやり方に正解なんてありませんし、もしかしたらもっと効率的で良い方法があったかも知れません。しかし、今回のDevRelCon Tokyo 2017は素晴らしいカンファレンスになりましたし、自分たちのベストが尽くせたのではないでしょうか。私自身ももっとやり方があったんじゃないかと思う場面もありましたが、それも引っくるめてこれが今のベストだったと考えています。もちろん、今回反省すべきポイントは次回に活かしていきます。

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自分たちが知らないものを作り上げるというのは非常に面白い経験でした。普段のDevRelサポートであったり、システム開発とは全く違う経験です。特に納期(開催日)が絶対に変更できないというのは特徴的です。その中でコミュニティとして、各メンバーが自分の良いと思った方法で有機的に動いていくのはなかなかない体験だったと思います。

スピーカーのサポートについて

今回、殆どの登壇者にはトラベルサポート(航空券、ホテル代など)を出していません。予算が少ないのが理由です。元々DevRelという単語の認知度などごくごく小さなものであり、規模としても小さいものになるだろうと考えていました。その中でトラベルサポートを出すのは難しい決断でした。

そうした中で、Slack上においてスピーカーのサポートは徹底して行っていました。登壇に関するところであったり、日本での過ごし方、ホテルへの移動など、日本でより良く過ごしてもらえるようにサポートしていました。あらかじめコミュニケーションを密にとっておくことで、当日会った際にも会話がスムーズになっていました。

特に我々が英語ネイティブでない以上、テキストでの会話の方が幾分スムーズだったりします。オンライン上で互いの信頼ができあがっていれば、オフラインではじめて会ってもちゃんとエスコートできていたかと思います。

この仕組みはDevRelConではなく、オライリーが主催するOSCONで行っていた仕組みです。オランダで開催された際に、参加者は強制的にビギナーチャンネルに参加させられます。しかし、その中で当日までに向けた困り事を聞いたり、当日夕飯を一緒に食べるメンバーを探したりできます。意外と便利な仕組みだったので、DevRelConでも取り入れてみました。さらに言えば、参加者全員を対象にしていても良かったかも知れません。

デザインについて

今回各種物品のデザインをブロックワークスの兼子さんに依頼しています。スポンサーは度々追加されたり、五月雨式にどんどん作るべきものが増えていく中、非常に早い反応で対応してもらいました。業者を変えるとテンプレートが変わったりするので、そうした対応も行ってもらっています。兼子さんは元々MOONGIFTのWebデザインや名刺など一通りを行ってもらっています。そういった意味では昔からの付き合いがあるのですが、兼子さん以外のデザイナーでは今回の物品作成はとても間に合わなかったと思います。もちろんもの凄い予算をかければ対応してもらえると思いますが…今回の予算感ではとても無理だったでしょう。

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ガイ・カワサキさんを呼ぼうとした話

一番最初、せっかくの日本開催なのでインパクトが強烈にあるガイ・カワサキさんをキーノートにお呼びしようと考えました。直接メールを送ったのですが、実はご本人からもの凄く前向きな返事をいただいています。

その後、エージェントを紹介され、そこからガイ・カワサキさんではなくエージェントと金額面を調整しました。といっても、とても招聘できるような金額ではありませんでした…。ここでは具体的な金額は避けますが、見た瞬間に諦めるくらいの金額です。さすがアメリカというか、エージェントがあることで金額がつり上がるのをまざまざと感じました。それが良いか悪いかは分かりませんが、ガイ・カワサキさんを招聘できる Developer Relations Coference は料金が15万円〜45万円くらいするのも納得という感じです。

チケット販売について

カンファレンスで必要な要素は3つです。参加者、スピーカーそしてスポンサーです。今回、ベニューを無料で借りられるとあって、スポンサーはあまり深く考えていませんでした。そしてスピーカーについては80以上のCFPをもらえています。そのため問題はとにかく参加者でした。

元々、参加者目標を150名と据えていました。これはDevRelCon Londonが200名くらいの規模であり、そこまでは集客できなかったとしても(ロンドンは2回目、英語圏なので)、その多少小さいくらいのサイズにはしたいと考えていました。結果から言えばチケット販売数は149枚、トレーニングデーまで入れると151枚となっており、ギリギリで達成できたという感じです。最後の最後までじりじりと売れ続けて、最後に達成できた時には嬉しかったです。個人的には私の大きな仕事は次の通りです。

  • スポンサーが満足する集客を
  • 参加者が満足するスピーカーを
  • スピーカーが満足する集客を

この3つを達成する必要があります。見て分かる通り、スピーカー、スポンサーともに基本的に参加者を重視しています。参加者はスピーカーやそもそものコンテンツによって来る、来ないを判断します。つまりDevRelという単語自体が持つ力が弱ければ集客はままなりません。さらに言えばスポンサーだってそんなイベントをスポンサードしたいと思わないでしょう。

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何とか目標を達成できたのはスピーカー、マシューなどの宣伝によるところが大きかったように感じます。コミュニティメンバーを経由して売れたチケットも何枚もあります。

そんな中、DevRelという単語の認知度を引き上げるために行ったのがメディアスポンサー向けの記事執筆です。今回はThinkITさん向けに2本、CodeZineさんに1本寄稿させてもらいました(執筆は橋)。

これは橋にとってもはじめてのメディア寄稿だったので、勉強になる部分も多かったようです。実際、複数のチケットが記事を経由して購入されています。スピーカーはもちろんのこと、DevRel自体の認知度もイベントの成否に大きく関わってきます。今回のカンファレンスを達成できたことで、DevRel自体の認知度も向上し、今後はもう少し楽になると考えています。

カンファレンス自体について

個人的には初回にしては十分満足できる結果でした。もちろん多くの改善ポイントが残っています。同時通訳であったり、スポンサー企業向けの対応、当日のフロー、飲食…様々な改善が必要なのは間違いありません。次回のカンファレンスではこういった点を改善し、良いところを延ばしていこうと考えています。とは言え、多くの参加者は楽しんでくれていたのではないでしょうか。

当日の運用について

当日のフローについてはあらかじめ作成したフロー表をベースに行っていきます。とは言え、予測しないことが起きるのが当たり前です。そうした内容を逐次メンバーで共有しながら解決していく形になります。当日、朝の挨拶において「細かい管理はしません。個々人の判断において良いと思える形でお願いします」と伝えました。これはマイクロマネジメントをする余裕がないというのもありますが、そもそもコミュニティベースのカンファレンス運営において、個々人の判断は重要と考えていました。そもそも、メンバーの中にネガティブな人は一人もいません。これが会社に言われたから参加しているというのであれば別でしょう。コミュニティメンバーは自主的に参加してくれている人だけです。そうした人が、問題に対してネガティブな対応をするでしょうか。その意味において、私としてはすべてのメンバーを信頼しており、彼らがそう判断したのであれば、それは正しいものだと考えています。それもあって、細かい管理は一切不要でした。

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大事なのは何を肝とするかです。カンファレンスにおいては参加者やスピーカーが「楽しい、良かった」と思ってもらうことがすべてです。それを踏まえた上で、メンバーとして楽しむのが大事です。そこさえ共通認識として持てていれば、各自の判断は間違ったものにはならないはずです。

もう一つ大事なのは、参加者との接触であったり、登壇内容を聞く機会をコミュニティメンバーに提供できなければいけないと考えていました。完全な裏方に面白みを感じるのは難しいです(主催者は大丈夫だと思います)。コミュニティメンバーに対しては最前線で楽しめる枠を用意しなければなりません。それはセッションを聞くだけでなく、人と一番触れ合える場を用意することかも知れません。

感謝しましょう

今回のカンファレンスが自分の力だけで作れたかと言えば、それはもちろんあり得ません。カンファレンスの最後では6つの感謝としましたが、すべての方に感謝しかありません。

  1. 同時通訳
  2. スピーカー
  3. スポンサー
  4. ベニュー
  5. コミュニティメンバー
  6. すべての参加者

いずれの要素が欠けても今回の内容は達成できなかったと思います。もちろん細かく挙げればキリがありませんが。とにかく皆さんの協力あってこそ作り上げられたカンファレンスだと思っています。これは面白いもので、当日までは「自分で作り上げた」感がありました。すべてのスポンサーと交渉し、チケットを販売し、hoopyとの契約やWebサイトの更新も行ってきました。ノベルティの発注もすべて行っています。それだけに自分で作り上げたという強い自負がありました。しかし当日になってみると、私自身は司会くらいしか担当していません。受付も、トランシーバーを配るのも、セキュリティゲートで受け付け票を配ることもしていません。このカンファレンスは参加者、コミュニティメンバー、スポンサー、ベニューすべての皆さんのものだったと言えます!

MOONGIFTとして見てもビジネス的な可能性を大きく引き上げられたと感じています。なお、DevRelCon Tokyoは2018年も開催します!ぜひ皆さんもご参加ください!

https://tokyo-2017.devrel.net